ヴォクソール コーヒーカップ (1755‐60年頃)
A Vauxhall Coffee Cup C.1755-60
ヴォクソールのコーヒーカップ。シンプルな丸いカップで口縁が心持ち外側に広がっている。取っ手もシンプルなループ型である。上の写真では不明瞭かもしれないが、取っ手の内側が平らになっているのがヴォクソール作品の特徴だとされている。口縁には薄く金彩が引かれている。
側面には多色彩で花絵が描かれているが、これは図柄の輪郭を複数の色で釉薬の上に転写印刷して、その内側を手彩色したものである。この技術は、'polychrome printing(複数色印刷)'と呼ばれており、ヴォクソールのみで用いられた技術だとされている。上の2番目の写真に黄色い花が2つ描かれているが、両者の輪郭の色が異なるのが見て取れると思う。
なお、裏面にコレクターのシールが貼られているが、これは英国陶磁器学会(ECC)会長を務めたバーナード・ワトニー(Bernard Watney)のシールである。
高さ(Height): 6.3cm
マーク: なし
Mark: None
参照文献/References:
-Phillips Catalogue "The Watney Collection of Fine Early English Porcelain, Part I" Lot 356
-ECC Exhibition Catalogue"Ceramics of Vauxhall 18th Century Pottery and Porcelain" pp.43-44
-Simon Spero "Vauxhall Porcelain - A Tentative Chronology" ECC Transactions Volume 18 Part 2 (2003) pp.366-367
-Geoffrey A. Godden "Godden's Guide to English Blue and White Porcelain" p.179 (polychrome printing) and p.188 (handle shape)
(2020年11月掲載)